空間と発想のあいだにある、静かなユーモア
「YOY(ヨイ)」は、東京を拠点に活動するデザインスタジオ。日常の中に潜む“違和感”を美しく形にすることで知られる彼らのWebサイトは、白と黒のモノトーンの世界が広がり、その中でプロダクトが静かに浮かび上がる。
平面と立体のあわい、光と影の重なり。そんな一瞬の捉えどころのない現象を、精緻なデザインという言語で定着させる試み。Webという平坦な場所にありながら、まるでそこにモノが存在するかのような錯覚。日常を少しだけずらすことで、世界の見え方を変えてしまう魔法のようなアプローチ。
ユーザーインターフェース|日常をずらす、軽やかな操作感
まず目に入るのは、画面左側に固定された縦型のナビゲーション。「PROJECTS」「ABOUT」などの項目が整然と並び、どの階層にいても迷わず移動できる構造。対して右側のメインエリアには全画面を使ったビジュアルが展開され、スクロールに合わせて写真が切り替わる。
余計な要素を削ぎ落とした先にある、驚くほど軽やかな手触り。マウスの動きに呼応して、静止画がまるで生きているかのように呼吸するアニメーション。ボタンを押すという感覚ではなく、空間にそっと触れるような心地よさ。あえて多くを語らないUIが、プロダクトの物語を雄弁に物語る演出。
コンテンツ構成|思考の断片を、グリッドに配する
サイトは「PROJECTS」「ABOUT」「CONTACT」の3軸で構成。メインとなる「PROJECTS」では、家具や照明、インスタレーションが写真中心で紹介され、短いテキストが説明よりも“余韻”を残す。
膨大な作品群が、まるで図鑑のページをめくるように整然と並ぶ場所。個々のプロダクトが持つ哲学を、言葉よりも写真の密度で伝える編集のあり方。コンセプト、素材、プロセスの積み重ねが、一つの美しい地層として構築される体験。情報過多な時代にあえて語りすぎないことで、読み手自身の想像力を刺激する余白の作り方。

デザイン|モノトーンの中に宿る、静かな緊張感
黒と白が描き出す、コントラストの効いた鋭い世界観。文字を小さく抑え、余白を広大に取ることで生まれる、言葉が空間に浮かぶような感覚。
フォントは細身のサンセリフ体。建築図面のような理性的な印象を与えながらも、どこか柔らかい。光の当たり方まで計算し尽くされた写真は、もはや一つのアートピース。装飾を排し、本質的な構造美を追い求めた結果としての、洗練された視覚的秩序。デザインそのものが“静けさの中のユーモア”を体現する、アートブックのような手触り。
ターゲット|日常の中に「問い」を見つける探求者
既成概念に縛られず、モノのあり方を「機能」だけで捉えない人々。デザインを解決策としてだけでなく、日常に驚きをもたらす詩的な道具として愛でる人。
また、学生や若手デザイナーにとっては、「アイデアをどう見せるか」「どこまで削ぎ落とすか」という本質を学べる最良の教材。デジタルな画面越しに作り手の思考の深淵に触れ、自分の暮らしに小さな変化を取り入れたいと願う、静かな感性の持ち主たち。
ここを真似したい!」ポイント!
・静止画と動画の境界を曖昧にする、滑らかなビジュアルの遷移
・視覚的なノイズを徹底的に排除し、作品の本質を浮き彫りにする余白の設計
・情報を詰め込むのではなく、余白で語るというエディトリアル的な考え方
・プロダクトの哲学を伝えるための、ミニマルで一貫性のあるフォントとレイアウト
まとめ
サイトを去った後もどこか不思議な余韻が残る空間。当たり前の景色を少しだけずらすことで、新しい美しさを見せてくれる場所。デザインの本質とは、何かを創り出すことではなく、そこにあるはずの「気配」を形にすること。“見せる”よりも“感じさせる”ことを大切にしたデザインの好例です。情報を削ぎ落とし、余白と動きで語る構成。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| サイト名 | YOY |
| URL | https://yoy-idea.jp/ |
| メインカラー | ホワイト、ブラック(モノトーン) |
| デザイン傾向 | モード、エディトリアル |
| 注目UI | 画面左側の固定ナビ、全画面を占有する動的レイアウト |
